あるるる~と。

娯楽感想備忘録

『最高の人生の見つけ方』2007年97分制作国アメリカ

~あらすじ~

余命六ヶ月、2人のバケットリスト。


※以下ネタバレアリ


~感想~

バケットリストについて知りたかったので、前から見てみたかった映画。


"人生を楽しめ"


面白かった。展開が上手いなあ。
冒頭のナレーションがモーガン・フリーマンだったので、てっきりカーターの方が後かと……。
その後も、じゃあ登っているのはエドワードかと思いきや!秘書で、ラストでくるくるひっくり返されて驚いた。
秘書いいキャラしてるなあ、かなり良い脇役だなあと思っていたので、まさかのオチにもなっていてサイコーだったw
(あの我儘なエドワードへの返しや、言う時にはしっかりと言うとことか、とても良かった。)

キャラ的に、エドワードは偏屈なところがあるし、てっきりカーターの方がバケットリストを実行しようと言い出すのかと思っていたら、エドワードの方で意外だった。
でも、彼らの人生的に、やっぱ確かに、このようなことを実現しよう!と言い出すのはエドワードの方かと思う。
一代で10億ドル稼ぐ、ものすごい行動力だ。エドワードは実行力がある人、自分のしたいこと求めることを実現する力を持つ人だ。その分一人だったりもしたけど。
一方カーターは45年を家族の為に費やして、己の夢は捨てて生きてきたんだ。ずっと博識な事が繰り返し描かれていたので、何故修理工をやっているのか明かされた時は辛いなあと思った。勿論家族の事も愛おしいだろうけど……。夢を諦めて子供をとる、とても立派だと思った。それにあんなに立派な綺麗な家で、子供たちをしっかりと育て上げ、家族中に愛されて、本当に凄いと思う。
登場人物の性格等について、繰り返し描写されてて丁寧だった。カーターはひたすら問題に答えてたりとか。エドワードは神を信じず、祈りも全て独り言として済ませたりとか(独り言、と称すのも孤独の表れかな?)。やっぱり何度か同様の事が繰り返されると、その人物の姿がインプットされるかも。
孫が送ったマスタングGT350も、その後もちょこちょこと出てきてよかった。修理工のカーターが車好きなのも、キャラクターの説得力というかが感じられて良かった。
カーターの博識さは、一緒に旅する相手としてサイコーだろうなと思ったりした笑 温厚な人だしね。
2人の対照的さは、際立って描写されていたなと思う。
病室で、カーター側の壁にはどんどん子供が書いたであろうお見舞いメッセージなどが増えていくなか、エドワード側はコーヒーサイフォンのみ。
帰宅後は、2人の様子が交互に映る。家族に囲まれ楽しく食事するカーターと、豪邸に一人できあいの食事すら開けられずに食べられないエドワード。カーターは妻と踊り、エドワードは女性らを背に一人泣く。
本当に対照的な二人、でもそんな二人がひょんなことから知り合い、親友となり最後の時を共に過ごした。それってやっぱりとても幸福な事だよなと思う、良い友人に恵まれるって素晴らしいことだよ。

バケットリストの内容が、上手い事伏線の様にもなっていて、叶えて線を引く度心地よさみたいなものがあって良かった。
内容的にも展開的にも、きいてて、上手い事活きてるなあと思った。
ラストが、バケットリストに線を引いて終わるのとか良いね。
話していた内容がちゃん後々叶ったりするのも、なんか心地よいなあと思う。(缶等)
色々としっかり伏線回収がさりげなくされて、脚本がしっかりしてるなあと思う。


死の受容プロセス
寝転んでる時用眼鏡
古代エジプト人の死生観 天国の扉前での質問"人生に喜びを見つけたか?""他者に喜びを与えたか?"
神曲 ダンテ 地獄への旅

エベレスト登山での星空の描写美しかった。キンとした寒さと綺麗な星々が感じられた。
「感想は?」
「"寒い"よ 大部分は
 昼間の空は 青いと言うより黒いの 空気が薄すぎるから
 でも夜になると 降るような星空が見える
 決して手の届かない まばゆい光の粒たち
 まるで天国の床に空いた 小さな穴のよう」

ああそうか!ジャック・ニコルソン……シャイニングのお父さんか!あーーー!!!

コピ・ルアクの製法ってとても有名に思っていたけど、この時期はまだそうでもなかったのかな?
まあ知らない人は知らないのかも。


話の構成は……、三幕構成じゃないような気がする。いや、でもどうだろう?
入院直前、余計宣告&バケットリスト、血、帰還、エンディング。
やっぱり三幕構成かも?でも起承転結の方がしっくりくるかなあ。
入院、余命宣告&バケットリスト、帰還、エンディング。
難しいな。

登山中の景色とモーガン・フリーマンの独白から始まり、山頂の景色とモーガン・フリーマンの独白で終わる。
独白の内容は繋がってる。これは対感があったかも。じゃあやっぱ三幕構成かも?ね。
ともかく、この〆方は美しいなと思う。
エベレストの、真っ青な雪山の荘厳な風景が、命を題材に扱っているこの映画によくあっていると思う。
あと、よく見ると冒頭でカーターが煙草の灰を落としていた缶と、最後遺灰を詰めた缶は、両方チョック・フル・オブ・ナッツの缶で、中間での会話だけでなく冒頭から出てたんだな~と思って、伏線というかなんというか、しっかりしてるなあとも思った。始まり終わる。



良い映画だね。

仕事の成功や自由と孤独、あたたかな家族と諦めや我慢、対照的な二人が、
人生の最後に、やりたいことを叶える。
そのテーマと、伏線回収の綺麗さなどが、心地よくもハッとさせられる映画だったかなと思う。
元気な時は2人がハツラツとして生きているので、そのさなかにしかし彼らは余命いくばくもない病人なのだということが描写されると、現実に引き戻される思いだった。その高低さ、波が、またより一層物語に引き込ませてくれたかなと思う。
笑顔になる時もあるのに、ハラハラしたり、じんわりしたり、そんな映画。

自分もバケットリストを書いてみようとしたことはあるけど、でもなんだか自分で書くと上手く書けなかった。
パッと軽く浮かぶものは色々あっても、じゃあ本当にそれがやりたいのか?と考えるとそんなことも無いように思う。
でもやっぱり確かに浮かぶものもある。
まあ、そこまで重く考えず、パッと浮かんだやりたいと思えることを実行すること、それが大切なのかなと思った。今までの人生でやっていかったことをやってみると、多分それまで見えていたものとはまた違う景色が見えるんだと思う。

残された時間を、悲観的になるのではなく、やりたい事の為に行動するのってすごくいいと思った。勇気があるというか。
なかなか、決断できないと思う。
嘆きながら、我慢しながら、諦めながら、終わってしまうこともあると思う。

60代半ば、まだまだ若いよ、と思う。
まだまだ出来る事沢山あるよ。
50代ならより一層そうだし、40代なら、30代なら、20代なら……。
悲観的にならないでほしい。
ちゃんと生きてほしい。
人生を楽しんでほしい。
そう思った。

諦めずに生きたい。