あるるる~と。

娯楽感想備忘録

『プルートで朝食を』2005年127分制作国アイルランド・イギリス

~あらすじ~

アイルランドの小さな町。教会の前に捨てられていた赤ん坊パトリック。
幼少期からドレス等に興味を示していた為、町で変わり者扱いだったパトリックは実母を探しにロンドンへ旅立つ。


※以下ネタバレアリ


~感想~

「わかってるのよ 何もかも
 バラもチョコレートも 口先だけだって知ってた
 でも 幸せだったわ」

「"幻の女"は誰だね?」
「私の母よ そう呼んでるの
 私の人生は 物語だと思えるように」
「なぜだね?」
「涙が止まらなくなるから」

「黒いだけの服は つまらない
 どんな時もオシャレは大事」

「きっと涙を隠すために 笑っていたのね」

「とても不思議だわ
 母さんを捜しに行き―――
 父さんを見つけた」


キュートで苦しくて、でも希望が残る、
とてもいい映画だった。好きなタイプの映画。
やっぱりイギリスや寒い地方の映画はいいな。北欧とか……。
オシャレさと静けさ(仄暗さ)とが、丁度良い。
キトゥンが、自分なりに強く生きているのが本当に、良くて憧れた。私も、工夫して楽しみを見つけながら生きたい。
自分の物語の中を生きる人。
すごく美しい人だった、カッコよくてカワイイ。


小説が原作だからか、章題が短いスパンで合間合間出続けながら話が展開されていくのが、独特で面白い。
(一応三幕構成ではあったのかな?旅立ち、希望、父、今。最初と最後はどういえばいいのか難しいな。)
作中作の様にパトリックの話す物語が入ったりするのも楽しかった。神父と家政婦のコメディノリも良かったし、スパイの香水攻撃もステキ。
俯瞰視点のカメラの動きが良かった。序盤の協会?俯瞰も、風俗の協同俯瞰も。
ほんとに話すコマドリもよかった。丁度良いフェアリーテイル感がすてき。
音楽も良かったな。ささやき入ってたり。

改造制服キュート。灰色の制服に、ボタンや刺繍。
キトゥンがとても美しい。
かなり目の色が薄いね。(だからか、特に色々あって目の周りがかなり青くなっていた時期の顔色の悪さは凄かった)
細長い体型のシルエットもとてもクール。マニキュアも映えてた。
ずっと持っている旅行鞄も印象的だった。コレひとつで様々な場所へ行き生きる身軽さが良い。

シリアス(真剣)、身のほど 繰り返し出てくる言葉たち…でもそういうのってあるかも。
爆発や火も繰り返された。辛い時世だ、よく表してたと思う。
銀河的孤独

キトゥンは本当に魅力的。
やっぱり強く生きてるからか、彼女が物語を生きているからか、独自の世界観を持っているから、
それに人々は魅了されていたと思う。不思議に触れたいよ、それに彼女は前向きで明るく真っすぐだから。
外に出たら物語が回ってく。
どこへ行っても、なんだかんだ世話を焼いてくれる人々(良くも悪くも)がいたりして、それは彼女の魅力のなせる業だったと思う。

懺悔室の窓と、風俗の除き窓が重なる構成、ニクイね。こういうの好き。
朝の牛乳瓶とコマドリも。

幼馴染、子供のころから変わらない彼らで、町を出た後も続いてる関係で……、
良いなと思ったけど、どんどん悲しくて悲しかった。
でも、ラストは希望ある終わり方でよかったなぁと思う。
ラストお母さん達と交差しすれ違って終わるのも、なんだかニクイね。よい終わり方だったなあ。
(弟パトリックのチェック上着かわいい、ポッケ部分が特に。)


良い映画だった。
好きな映画だ。

後に確認したところ、『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』の監督だった。好きなハズだ!
☆4.5