あるるる~と。

娯楽感想備忘録

『SAINT LAURENT/サンローラン』2014年151分制作国フランス

~あらすじ~

イヴ・サンローランの伝記映画。
彼の壮年期、独立後からの約10年を中心に内面を描く。


※以下ネタバレアリ


~感想~

  • 映像
    • 少し独特、雰囲気ある。予告イイ感じだった。色鮮やか。
    • 真ん中などにドンと赤で年表示。
    • 画面を二つや三つ~に分割するの面白い。音も左右に振ったりきもちしてたかな。→ラストのショー部分でもっと区切られていて、モンドリアンイメージだったことがわかってあ~ってなった。良いね。
    • 眼鏡をはずしたら自分がぼやけた
    • 浸って手紙書いてて音楽も流れてたけどノックで止まったり。音楽も結構色々流れてて独特だったかなー。
    • サングラスに移るショーモデル
    • ☆の平面的なネックレス
    • 身体とか綺麗だったな
  • 台詞など
    • 今の時代映画音楽広告だけが創造的だ
    • 続けるなら意味のあることをしたい どうでもいいものを売る代わりに
    • 子供の頃書いた詩 "君は幸せ者だ すべてを手にしている 富 美しさ 若さ 何て すばらしいことだ でも 君は そんな人生に飽きた もう望んでいない"
      • 母さん 僕を愛してる?
    • 競争相手がいないのが私の悲劇です 自分が創った"怪物"と生きなくては
    • ローブを着てどうする? 脱ぐのさ
    • "移植されたような口"
    • 君を想うと 空を背にして立つ 20人の若者を思う
    • 君は地面に服を投げ捨てた 僕が拾うことを承知で…
    • 僕は魂のない肉体が好きだ 魂は よそにあるから…
    • 秘密にしてほしい 僕は何も頼まず 何も渡してない 君に会ってもいない 僕は ここにいない
    • 彼と この世界を結ぶ 唯一の存在だった
      • (犬…。そういえば、犬と育ったみたいなこともう一個の方で言ってたな。)
    • 彼の繊細さが… 彼の心を壊していく
    • (あなたを愛してない 愛してない 愛してないわ)
    • "過去の遺物"じゃない YSLは宇宙的存在になった
    • (すべて
      • お母さんとの関係とか…どうだったんだろう。
    • シルク シフォン ベルベット
    • 私を解き放った
    • でも 私はいつもおき立ち上がる
    • "テディベアと埋葬してくれ"と
    • オピウム
    • ムニョス
    • ヴィヴェカ
    • オプタリドン
    • クチュリエ
    • フェリサ


やけに多い性描写、
前後する時間軸、
心情風景の様な夢の様な現実。

イヴ・サンローラン』(2014)が、べルジェとの関係にクローズアップした分詰まった怒涛の展開だったのに比べると、
こちらは、日々が過ぎていく様というか…、全体的で少し盛り上がりに欠けて単調なように感じる。
しかしその分、イヴの狂気性というか、
現実を生きていなかった姿が、浮き彫りになっている様な気がする。
「別の世界にいるのは あなたよ」
「現実世界と あまりにも かけ離れているわ」
お母さんのセリフ。

蛇は比喩だな。色々な。
終盤になると、晩年に飛んだり幼少期に飛んだり、絵の中の風景だったり…、結構どんどん狂気にのまれていった様を感じる。真ん中で冒頭に戻った。
ベルジェを殺そうとしたとか、『イヴ・サンローラン』(2014)を観ているとあの後そんなことがという感じで吃驚。


もう一方と比べながら見るのが面白かった。
ほぼ同じようなエピソードだけど描き方が違ったりして、踊っていた事だけはあったんだろうなーとか、大仏買ったんだなーとか。同じようなデッサン画もあった。登場人物が被っていて、人一人の人生なんだなってなる。
こちらは、性や薬描写が多く本当にグズグズというかドロドロを感じる。闇に漬かっていたというか。ODする犬シーンとかえええってなる、アレを撮った犬は……、ムジークMOUJIK...。

イヴ・サンローラン』(2014)は、ベルジェ公認ということもあって、
2人がしっかり愛し合った関係として描かれていて、色々と美しく終わるが、
こちらでは、ビジネス上の関係の要素が強くも見える。あと基本的にベルジェ、交渉時とか自分の望みを通そうとするとき、なんか脅しを使っているな……と感じた。ベルジェはケーキとか彫刻とか絵とか色々イヴに贈っているシーンがあるんだけど、あまりイヴからベルジェへの愛を感じるシーンってなかった気がする(逆に不細工とバカにしているシーンがある程)。
一方ジャックとのキスシーンはかなり濃厚に長尺で描かれたりする……。
あちらよりも、こちらではイヴが惚れこんでいたジャックの登場シーンも多く、あちらではちょっと出てきた浮気相手の様な感じだったが、手紙も書いたり晩年にも思っていて本当にイヴにとって愛しい人だったんだろうと思った。
(あっちで感じたよりも、こっちの方が、本当にこれは悪影響だわって感じがしてそりゃキレるなwって感じもした。)
あちらはベルジェとの関係が主だから、ガッツリ省かれたんですね。
あちらとこちらで共通なのは、まあジャックの本心って見えないなーって感じがする。

結構奔放に過ごしてて、色欲にドラッグに…だけど、でもやっぱあまり楽しそうではないんだよな。
あと、見下したり他人への冷たさみたいなものも垣間見えたなー(妊娠したスタッフの本人の前では良い人として振舞うが、裏でクビにしたり)。
孤独で、いびつで。繊細で。
あちらの綺麗なイヴよりもっと、酷い部分なども見えてたかなーと思う。


スーツを着て、自分じゃないみたいだと凄く喜ぶ女性よかった。
あんなに喜んでもらえるの、いいね。
自由さというか、解放、まさに革命か。
本当に女性の精神面というか在り方かに大きな影響等を及ぼした人なんだなーーって感じだった。
あそこ良いシーンだね。着方もどんどん変化してったりして面白いしね。

同じようにスーツと裸の女性のシーンもなんか印象的だったな~。

廃墟みたいな砂山でボロボロで寝転んでたりも印象的だった。もうメチャクチャなんだよなー。


表情の独特な俳優だったので、
最後笑みで終わるのは、なかなか……、味わい深くて良かったなと思う。
ホテルロビーから静かに始まったのもよかったな。


★2.8
ちょっと単調さが強くて、飽きながら見てしまった。同人物の伝記2本目で、起きることをある程度知っているため仕方がない気もする。
ただ、あちらよりももっと美しさが削られていて、補足として見るのに良かったと思った。
あちらではイヴは終始内気で繊細な少年、といった風だが、こちらではイヴのもっと自由に我を通す姿というか…傲慢さもチラチラ見えて、美化が薄く感じられたかな。