あるるる~と。

娯楽感想備忘録

『フローズン・タイム』2006年102分制作国イギリス

~あらすじ~

恋人と別れた主人公ベンは、失恋のショックから不眠症になってしまう。
持て余した時間を使いスーパーの夜勤に始めたある日、彼の時間はフリーズする!



※以下ネタバレアリ


~感想~

ずっと観たかった映画。
予告を観てみて、好きな雰囲気、題材だった為ずっと気になってた。
ミシェル・ゴンドリー監督とか、ああいう雰囲気かな?ちょっと不思議で、落ち着いてて。それよりはもっと静かな印象、かな。好きな感じだ。
イギリス映画って好きなんだよね。

よかった。
とにかく映像の綺麗さと、女体の肉体美が凄い!
美しい映画だった。


特に印象に残った、目が覚めるほど美しいシーンは、
スージーが夕焼けの中こちらを振り返りながら走っているシーン。
陽の光を浴びて、笑顔で髪を乱す彼女は、何よりも眩しい。
写真といい思い出が本当に美しくて、痛いね。美しかったなあ。
あとは基本的に裸体が皆美しいです。
特に、ベンの性の目覚めとなったスウェーデン娘はヤバい…ね、ねんだアレ……。
このシーンは画面が全体的に薄ピンクがかっていて、内容にしっかりあってます。
そういう性的な事とか?で印象の強いシーンから切り替わる時は、ボッと画面が赤に染まったりして、
結構色味の演出も美しい映画でした。
義務教育?時代の思い出は全体的に低い色温度だったり。
スージーとの思い出は全体的にオレンジがかった色合いだけれど、
ラストのシャロンとのキスは対照的に一面真っ青の色構成です。綺麗だね。

場面転換時に、スーッとスライドで切り替わるのも面白かった。
例えば、電話を切ったあと主人公の姿勢映り方はほぼそのままに、電話の前からベッド上に移動したり。
面白いし綺麗ですね。

色々構図も綺麗だったな~と思います。
ぶちまけられてるグリンピースも、なんだか美しかった。
Wikiを見てみたら、監督は元々写真家なんですね。
納得!やっぱり絵作りが独特だもんね。MV畑の映画監督が結構好きだけど、写真畑も良いものだな~と思いました。


クラッシュ……夢中、失望


時間が止まるっていう題材も面白いけど、
この作品はキャラクターが良かったかな?同僚たちと親友のキャラ立ちがしっかりしていてよかった。(とにかく一番良かったのは映像の撮り方+女性たちの肉体美だと思うけど(次に良かった事をあげると))
特に親友。毎回速攻女性にキレられフラれるのが面白過ぎるw謎の良いテンポです。
子供の頃の親友役の子の、ニヤ…とした半笑いwナタリーのストリップを観て半笑いでウンウン頷くシーンw良かったな。
パーティの準備シーンもとても面白かった。登場人物のそれぞれの特色が出ていて、ノリノリで心地よい。ローションの比喩は酷過ぎて笑った。
あ、指の慣らし方が独特で良かったな。よくある指パッチンじゃなくて、ぽきぽき。

音楽も良かったかな。
特にメインテーマ?予告でも使われていた曲はとてもあっていて綺麗だ。
スタッフロールで流れた最後の曲もカッコよかった。

色彩も色々パキッとしていて綺麗だったなと思う。
ポップな感じ。ケチャップとか、並ぶ商品達とか。
壁に色々貼られてるのは、やっぱり良いな~て思う。部屋にあるボロボロのソファもなんかいい。ブラウン管の小さなテレビとかも。
テレビとかPC上に何かしら置かれてたりするのも、やっぱり良い。
あ、くりくり回すコントローラとかやばい。

中間で謎のフットサル対決展開があって、その時に停止した時間の中を動ける人間が自分以外にもいる事が発覚。
1/4あたりで時間停止能力ゲット、3/4あたりでパーティ(シャロンに誤解)、ラストは個展からのフローズン・タイムでキス。と、まあ…三幕構成なのかな?
別れ話=終わりから始まり、新彼女とのキス=始まりで、終わる。
(スージーシャロン両方からスロー罵りシーンがあったり、
スージーはオレンジっぽいデートシーン、シャロンは青っぽいキスシーンで、
結構なんか合間合間でも対称的さがあったかな~て感じたり。)
(キスで呪縛が解けたとか、動けたりは、どこか眠り姫を彷彿とさせステキかも。)


ストーリーは、うーん。どうなんだろう。
なんていうか、わりとベンがどうしようもないというか、お前……って感じのヤツなんだよな。
そもそもの彼女との破局も、お前自業自得じゃない?ってカンジだし。
自分から、君を幸せにできないと別れ話を振ったのに、いざフラれて他に男作られるとショックを受けるという。ワガママさんかよ!!は~~~~。いやまあ一週間で次作られるのは、キツイと思うけどね。
(でも、シャロンが自分の夢を「バカみたいね」と卑下した時「ちっとも 君の夢だろ」と否定した時は見直した。)
それにしても、どういう話にするんだ?と思って見始めたけど、
ザックリまとめてしまうと、彼女にフラれました~失恋で凹みます~新しく気になる子見つけました~新彼女もゲットで全部上手くいったぜハッピーエンド、っていう…。
いやいやいや、え~。
なんだか、なあ……。
ちょっと浅すぎない?っていう気はする。
(夢についての描写もほとんどなかったし。あまりやる気はないように感じてたけど、あ~やっぱり個展ぐらいはやりたいんだな、みたいなところからサックリ叶っちゃってなんか。でも一応、デッサンは日常化してる人物だもんね。急でもないのかなあ…。)
まあでもやっぱり、失恋の傷を癒すのは次の恋愛、なんですかね。それが真理ということで……。
映像の綺麗な作品で、彼女との別れ話が出てくる映画というと、どうしても『エターナル・サンシャイン』が浮かんでしまうので、比べてしまうとちょっと内容が薄すぎないか?と感じてしまう。
主人公は勿論苦しんでたんだけど、なんだか淡々と一ヶ月程度で次の恋を見つけ乗り越えてしまうので、なんだか浅く感じてしまったかなぁ……。

とりあえず、
時間は巻き戻せず、取り消せないこと。今を生きるということ。
が伝えたいことだったのかな?
失恋によって時の止まった主人公、時間は戻せず消せず、最後には今を進み始める。
時の流れは変わらない。
幻想と現実、過去と現在。
時間操作は科学じゃなく個人の意志で。
まあ、時間って……、平等に流れて止められないけど、その長さは体感で変わる主観的な面があるものね。
あと幼少期の性体験が尾を引く空気も感じた気がする。「女性」に振り回されてるなあ。
美を見つける能力。

正直、この話のメインって、やっぱり失恋をちょっと変な力を経由したのちに乗り越えること、なんだろうから、
主人公の夢が最後叶ったのって要るの?って気がする。そもそも画家志望の設定、要るの?
でも、「美」もテーマの一つなのかなーって。そうなると、美に着目している人物像というところから美術学生っていう人物設定になったのかな~。
愛…「その美しい姿は一瞬の中に息づく」
「愛」は勿論テーマだ。
愛は美しく、一瞬の中に息づくもの……、だからこそ、一瞬の中の美を見つめる事のできる人物が必要だったのかな。そういうことかーー。そう考えると、主人公はとにかくなにがしかの美術に関わっていないとちょっとうまくいかないんだな。

時間を止められるのは、大きなギミックだけど、それによって主人公はあまり何か特別振り回されたり、起こしたりするわけでもないので、
本当になんか、ちょっとした、睡眠不足によって体感時間が狂い過ごす時間が増えた程度の扱いだったのが、
良くも悪くも、だったかも?なんだかとにかくすべてのことが少し小さかった気がする。
(関係ないけど、スロー罵り時のスージーの唇なんか印象的)

しっかし、フットサル展開謎だな~wそんなに身近な当然なイベントなのか?
結局あの動いた男?も謎だしね。他の人も動ける!って事を知るイベントが必要だったんだろうけど、なんか無理やり過ぎないか?どうなんだろう。
でも映像は綺麗だったから。良いかな。……うーむ。。
良かった、良かったんだけど、なんかうーーん……なとこも少し残ったかなぁ。でも、綺麗だったね。夜のスーパーの雰囲気も良かったし、キックボードレースとか楽しそうだったねw
でも、この多少浅い空気や、性に振りまわれている感じこそ、若者らしさが出ていてよかったのかも。


「多くの芸術家が 女性から霊感を受ける
 女性のパワーには脱帽だ」

「夢を知ることは大事だ
 みんな 知らずに人生を終える
 知っていれば探しやすい」

「時間を止めたい
 この瞬間を味わいたい
 この瞬間を生きたい」
☆4