あるるる~と。

娯楽感想備忘録

『シンデレラ』1950年74分制作国アメリカ

~あらすじ~

継母や義姉たちにいじめられながらも日々を強く生きるシンデレラ。
そんなある日、お城で舞踏会が開かれて―――。


※以下ネタバレアリ


~感想~

物心ついてから、はじめてしっかり観たかもしれない。
とりあえずほぼ覚えていなかった。


やっぱり、この昔のディズニー映画独特の、ぬるぬる手描きアニメーションは最高。
美しい。
特に、シンデレラのドレスが動くたびキラキラと瞬く、光の表現がとても綺麗。
それとやっぱりドレスを動物たちが作るシーンは楽しい。ドレス変身シーンの美しさは本当にすごい。
コメディタッチの部分も、ダメージの強調が効いてて、楽しい。
王様と大公がただ会話しているだけでも、ベッドの上をはねたりとんだり……、ダイナミックな動きが入ってて楽しかった。王子をお妃候補と出会わせようの件で、男女をかたどったブックスタンドでその様子を軽く表したりする表現も、面白いな~と思った。

意外と結構しっかり家のシーンが描かれる内容だったんだね。
でも確かに舞踏会なんて一瞬か。ほー。 動物たちの洋服?もおそらくシンデレラが用意していたものだったんだなあ。 シンデレラは王子と気づかずに恋してたなんてロマンチックだね。
結構中間~少し後半寄りあたりで、落胆からの変身シーンになるので、結構三幕構成とか起承転結とか、王道の話展開を組んでいるのかなと思う。

すごい!と思ったのはラスト周辺。
ハッピーエンドなのはわかりきっているとはいえ、だからこそか、
怒涛の、えーどうなるの!?大変大変!みたいな展開が結構続いて、ハラハラして面白かった。
鍵入手から運ぶのに一苦労と思いきや猫に…、割れるガラスの靴に……、すごいな~と思った。

それと、フェアリーゴッドマザーの魔法シーン、
最後までドレス変身を焦らし続けるのもまたニクイ!楽しませ方わかってるなあ…と思った。
あのもどかしさからの、美しいドレス変身のカタルシス!凄い。
(あの辺、シンデレラ本人のもどかしさとこちらのもどかしさが、ピッタリ合致してる気がして、その感情移入し易さも凄いなーと思ったりする。)

やはりこの、始まりと終わりでの、
少し実写じみたおとぎ話の本を開き閉じる演出、
これはサイコーだな~~~と思う。なんか、煌びやかで気品に溢れてていい。

音楽、曲も美しく、耳に残る。凄い。
ナイチンゲールの歌とか、メイン曲と比べると地味な位置だけど、シンデレラの優れてる様が義姉との対比でより表されててすごかったな。しゃぼん玉沢山の映像も綺麗。

キラキラの輝きや、ドレスのひらめき、
本当に美しくて、素晴らしい映画だなぁと思った。
褪せないねえ、凄いです。これぞ名作……か。
分解すればするほど良いところ、語るところが出てくる気がする。


一貫して夢の話が続いていて、夢は諦めなければ信じれば叶うとうたっていて、
直接的だけど、そういうメッセージが本当に込められた作品なんだなーと思った。
シンデレラ、あんな扱いを受けていても、絶対的に絶望的な状況に陥らなければほぼ泣き言も言わないし、前向きに生きていてとても凄い。
それに、あんな扱いを受けているのに自分を卑下していないところがまた凄いと思う。普通に嫌な顔したりもしてる。義姉たちに対しても普通にため口で話してる。
自分より弱いものは庇護し。ちゃんと、願うことも夢みることも、捨ててない。
彼女は自棄さが無いんだ。素直さもちゃんと残ってる。舞踏会ですぐ恋に落ちたり、運命とはいえ純粋だしね。
そういう心の強さ、ひたむきさ前向きさが、最終的に幸福を得たり、生きるうえでやはり大切なことなのだろうなあと感じた。

凄いぜ、シンデレラ……!
強く美しい作品だった。