あるるる~と。

娯楽感想備忘録

『ラ・ラ・ランド』2016年128分アメリカ映画

~あらすじ~

夢を追い人の集う街、ロサンゼルス。
女優を目指すミアと売れないジャズピアニストのセブ、2人は恋に落ち、互いの夢を応援し合うが……。


※以下ネタバレアリ


~感想~

ミュージカル映画が好きだ。
当時、周りの人々が映画館に行って「良かった」と言っていたので、観たかった映画です。
同監督の『セッション』も今年中には観ておきたいと思う。
「映画の魔法」の言葉がぴったりの映画でした。


とにかく色彩がキレイ。
カットのつなぎも爽快。心地よい。
服装もカワイイ、街並みも、アイテムも。撮影所とか楽しい。
服装、男性がモノトーン寄りで落ち着いていて、女性は色鮮やかにカラフルで、バランスがとれていてイイ。
黄色のワンピースに、青のハイヒール、赤のカバン……キュート!
画面画面で、それぞれ色調がはっきりあって、目まぐるしくって、面白い。緩急がある。
鏡とか、スポットライトとか、空とか、本当画面が上手くてキレイだった。勢いもあるし、うっとり。
曲もそれぞれ良い。"Mia & Sebastian's Theme"は特別な曲だね。
音楽は勿論良かったし、ダンスシーンも良かった。
目に楽しい、耳に楽しい映画だった。

序盤の繋げ方とか、面白かったな。
渋滞での遭遇から、ミアパートと、セブパート、そして出逢い。
2人とも底から始まる。

車内のシーンで、いつもはずっと右向きで進んでいたのに、田舎に帰るシーンは左向きで、帰る感じが強調されていてよかった。
車の話のついでで書くけど、セブの車のクラクション呼び出しが、ちゃんと活きてくるのとかイイよね。お約束回収。コーヒーとかね。
そういえば、基本的にカラフルな服を着ていたミアが、5年後は白黒を着ているのは変化を表していたりするのかな。

ケーブルカーのキスとか、あの辺の楽しく二人が付き合っている様子は微笑ましい。
夏での、無邪気に戯れるカップルの連続したシーンは、『ムード・インディゴ うたかたの日々』にもあった愛し合う二人特有の微笑ましさを彷彿とさせるような気もする。
ここでの彼らの幸せな時間があるから、別れの結末が映える。
映画館での待ち合わせからの、グリフィス天文台のシーンもかなりロマンチックで素敵でした。

当初の2人のプライドの高さも、夢追い人特有の感じがして、良い。強気です。
最初は印象最悪の二人なのに……、なんて、王道ですね!"A Lovely Night"のシーン、最高。
現実で夢を追い続ける苦しさも描かれていて、口論パートは結構キツイ。セブがミアに「君は優越感のために不遇の俺を愛した」なんて言うシーンは、うわーーー!!!ですよ。ダメだよ!
人間弱ってるとマズいよ!図星を突かれると、泥沼だよ……。元々に二人の未来のためはあったはずなのに。
でも、二人は、お互いの夢をそれぞれ本当に応援していて、道を間違えそうになったら苦言を呈して、逃げていたら迎えにくる。良い関係だなと思う。お互いが居たから、お互いのラストに繋がってる。
「もうたくさんよ」そりゃ6年は長いよね、充分傷ついて、ボロボロだよね……。でも、立ち直れなくなること、これ以上傷つくことが怖いから挑戦しないのは、やっぱり間違ってるよな。今既に死んでるなら、挑戦したって同じなんだから。


夢追い人達の、恋の話……、
構成としては、やっぱり3幕構成寄り、でいいのかな?
本当に丁度ド真ん中で、昔のバンド仲間との再会がある。
出逢い(恋)、バンド加入、ボロボロの2人の夢(+再建)、クライマックス。みたいな感じ、かな?
〆では、始まりだった渋滞が出てきたりして、うおお…ってなりました。
朝のシーンから、夜のシーン。夢を追っていた二人から、夢を叶えた二人へ、かな。にぎやかな始まりだったけど、終わりは静かで落ち着いていたと思う。

ちょこちょこ、セブのお姉さんが出てくるのは、
夢追わず堅実に生きていく人間と、夢追い人との対比でしょうね。
彼女がどんどん、順当に幸せになっていく様は、なかなか眩しいものがあります。

エマ・ストーン、チャーミングですね。前に『マジック・イン・ムーンライト』で観た時にも思った気がします。
目と口がおっきくて、すごい。こういう口の形もすてきだなぁと思った。

ロサンゼルスって、別名「ラ・ラ・ランド」、なの?
あと「ラ・ラ・ランド」には、現実から遊離した精神状態という意味があるらしい。なるほど……。確かに、夢を追う人は、そういう精神状態にあるともいえるのかもしれませんね。それに、まさにそういう内容だったな。


クライマックスシーンと、オープニングシーンが、特に好きですね。
クライマックスシーンは、少し泣きそうになった。ありえたかもしれない物語。
オープニングシーンのあのワクワク、カラフルで、一気に引き込まれる感覚。
良かったです。
クライマックス、ifを、二人で観る様もなかなか、キツくて……。
(海外映画を観ていると、同棲等を始めるカップルはほぼ必ず壁を塗り替えるシーンが挿入されるので、あれが入ると2人が結ばれるifをシーン以上に感じてあああってなりますね。)
でも、もしかしたらなんてなくて、あるのは今なんだよな。それにその過去だから、今に続いたのかもしれないから。
オープニング、それぞれの車からの音楽が聞こえてくるとことか、色々な人の違った人生や生活を感じて、ワクワクします。「また朝が来れば 新しい日」
wikiによると、あの高速道路のシーンは実際にICを一部借り切って撮影されたそうで!圧巻。監督的には、オズの魔法使いでの、エメラルド・シティに向かう黄色のレンガ道がイメージにあるそうで、なるほどなと思う。
セブのピアノも実際に弾いてるとのことで、…良いですね。あの弾き方も、よかった。

才能が無いと吐いている時に、「ある」と強く肯定してくれる人が居るのは凄くありがたい事だなと思う。
才能なんて、あっても、発見されなければ無いも同然で、無くても発掘されれば、あることになるものだから。信じることはきっと大事だけど、一人で信じ切るにはものすごくパワーが要る事だから、あのシーンは凄く良いですね。
「WHAT!!?!?!?」「NO!!!!!!!!!!!!」

良い映画でした。
2人は結ばれなかったけど、お互い夢が叶うなんて救いある映画だ。2人の出逢いに意味はあった訳ですしね。
結ばれないからこそ、色んな思い出も、得られた夢も、映える気がしますね。


「どうか乾杯を 夢追い人に」
★★★★☆ 星4つ

サントラも暫く楽しもうと思います。


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2019年7月 再鑑賞。
色が本当に綺麗!再確認でした。