あるるる~と。

娯楽感想備忘録

『くるみ割り人形と秘密の王国』2018年100分制作国アメリカ

~あらすじ~

亡き母のクリスマスプレゼント、それは鍵のかかった卵型の箱だった。
しかし、プレゼント箱の中に肝心の鍵は入っていない。
主人公は鍵を求めつつ、クリスマスパーティに参加する。


※以下ネタバレアリ


~感想~

寂しい方が覚えていられるわ



主人公がとても美人だった。家族も。
アン・ハサウェイ系の顔立ちだな~と、好み。


主人公の衣装がころころと変わって、そのどれもがとても素敵だった。

軍服、腰の後ろの所が折り返されてるのかわいかった。
すみれ色ドレス、腰部分がバッスルスタイル?な感じで膨らんでいてよかった。
金と白の王女様ドレス、胸の下あたりから前が分かれていて結構かわいかった。
始めの私服も、地味でイイ。馬車内のマント姿も可愛かったし。
ラストのドレスは、スカートや襟がぽつぽつと光ったり!電飾内蔵で面白い。

とにかく衣装が、綺麗だったな~~良かったな~と思う。
お姉ちゃんのリボン沢山くっつけた頭とかも良かった。
関係無いけどなんか髪硬そうだったね、とかされてる時なんかすごいひっかかってる感じだった。
あと胸が無い、とてもさっぱりしたスタイルだった。でもアレはアレでよさそう美しそう。


話はともかく、映像がとてもきれいで良かったなと思う。
俳優、衣装、色々……とにかく豪華絢爛で観ていて目に楽しい。

特に良かったのは、
やっぱりバレエシーン!
EDといい、本編中の4つの国と女王が出会う物語といい…、
やっぱり原作が原作なだけに、バレエシーンがあるのは嬉しくなるし楽しかったし良いなと思った。
純粋に美しいですね。普通にバレエで観たくなる。

ネズミの王も派手でよかった。
集合体だから、バザーッと崩れたりなんだり、抱っこされた主人公の上をネズミがかけたり…、面白い!
集合体モンスターならではのお約束をなぞり、ゾワゾワくる感じ、すごくよかった!



ただ、一方でストーリーは…うーん…。
ツッコミ所が多く、全体的に妙にアッサリとしていて、
観賞後何も残らない話に個人的に感じた。
映像が良いだけに、残念でした。
近年、映像が豪華かつシナリオも最高!な作品を映画館で観た記憶がない。観てる本数が少ないせいかな…、少し悲しい。
去年映画館で観て、心に残り続けている映画は『ゆれる人魚』くらいかな。


勧善懲悪とは言え…、もう少しなんとかならなかったのか。
お菓子の国の宰相……殺してしまって、しかもそのままで本当にいいのか?!
結局、空席がある事は変わらず、おもちゃとお菓子が入れ替わっただけだよ!?問題の本質は解決されてい無くないか!?
(これでは、おもちゃの国に対しての誤解がとけただけで…(おもちゃ側ももっとやり方は無かったのか…とも思うし…)、お菓子はお母さんを失った苦しみ壊れて…、アレは別の方向にいってしまった自分とも言えるんじゃないか誰しもにありえた姿では、救わなくて…いいのか…。)
ソレでお母さんの愛した4つの王国を守れたと本当に言えるのか?!
なんか、なんか……、モヤッとが残る。
トゥルーエンドではない、ノーマルエンドの様な……間違った選択肢を選んだままエンディングを迎えてしまった様な感覚。

それと、
お前が残れと言ったから残った結果鍵を渡してしまった!と、主人公が騎士に怒るシーンがあったけど、
いやいやいや、
帰る場合も鍵を託して渡すつもりだったじゃん!帰るも帰らないも結果は何も変わらないよ!?何で怒ってるの!!?八つ当たり?
ここはかなりええっ!?となった。まあ、色々とショックで不安定になった結果の八つ当たりだったのかなあ……。
自分で直接渡してしまった事が、イヤだったのかな……ウーン、もはや少し誤訳も疑ってしまう。何だったんだろう。自分では渡さず(手を汚さず)、知らない所でやっててほしかったのかな。

登場人物は多いのに、全然人物の掘り下げが無かった事が、
この妙なアッサリさの原因なのかなーと思う。100分と尺が短い中、冒険と共にそれを行うのは難しいのかもしれないけど……。
例えば、
変な謎の二人組、濃いメイクやもみえがげびょんびょん描かれてたり、とても見た目キャラ立ちの濃い古典キャラだったけど、……要る?余り関わらなかった。
特に、
4つの国でも他の2つの国の宰相あまりにも空気過ぎないか?!問題は結構あるかな~と。
おもちゃとお菓子があそこまでバリバリ頑張れるなら、花と雪ももっと頑張れるハズの人達でしょ!メイン戦闘ノータッチって……いいのか?!自分の国以外の事ならどうでもいいのか?
あまりにも不干渉過ぎた様な……、ここまで関わらないとなると、4つ国があるの…ステキ以外の意味あったのかな…。
なんというか、
各キャラ物語のために必要だから居るというだけで、生きている感じがしない気がした。
ラストで、
騎士とネズミが仲良くなったのもなんか…、ムリにそうキャラが動かされた様に感じて、すりよるネズミを見てちょっとあまりにもあざとい展開に感じた。いや、お約束ではあるんだけど……。

なんだかな
ツッコミ所の多さと、空気人物の存在等、色々…
観賞後残ったのは釈然としなさだった印象。

あと他にストーリーの感想としては、
あまりにも主人公のみが特別扱いされているような感じがした。
ウーン、一番お母さんに似てるのかな?
主人公と母の物語だったのかもしれないけど、あまりにも他家族薄くない?お母さんを失ったのは彼らも同じだよね…とかが気になった。
姉と弟が可哀そうな気がして、二人も勿論悲しんでると思うし、彼らも女王の子供たちなのだから母の愛した王国に来る資格もあるんじゃないのかなぁ……、でもお母さんがエッグを授けたのは妹だけだから、仕方ない、のかな。元々そういう関係だったのかなあ。
特にお姉さんはわりと家族を気遣っていて、潤滑油のような存在を担っていそうだったから結構気になったかなあ。幼くてまだあまりわかっていなさそうな無邪気な弟も良い立ち位置だと思うし。もっと家族を描いてほしかった……けど、テーマや描きたい物語とズレるのかな。(多分主人公が母の残した王国での冒険を通して成長するという話がメインだから、他家族の干渉は要らなかったのかな。)
なんか、主人公が持ち上げられ過ぎている様な感覚が…、あった、美人で頭も良いというシーンが度々入ったり(だけど癇癪を起したりするからなんかすんなり受け入れられてないのかも)。言う事をきかないとは言えお父さんも構い過ぎな気がするし…。
なんだかひっかかる、なと思った。
ん~~…、ここまで考えてみて、やっぱり、そうだな、多分主人公はほぼお母さんの生き写しなんだろうね。
きっとその感じが、家族間の関係や名付け親との関係や王国の民たちとの関係、全てに影響を及ぼしてるんだな。

それと、多分主人公は母を失った悲しみに囚われているせいで、他家族や登場人物に対しての気が、本編中はほとんど回ってなかったんだろうな。
その結果が、各人物の薄さや不干渉さだったのかもしれない。


くるみ割り人形~クララの恋人~♪
等、お約束みたいなフラグ立ては王道でよかったかなって。
冒頭でネズミを捕まえるところから始まって、本編中ネズミはずっと関わってくるのも良く思った。
あと関係ないけど、メインを白人だけで揃えないのは最近の風潮?なのかなと感じた。『プリンセスと魔法のキス』とか、ディズニーの変化なのかな。考えすぎかも。
あ、パーティ主催者は名付け親なだけで別に親族ではないんですね、母方の伯父かと思ってました。街の有力者みたいな存在なのかなー。
モーガン・フリーマンはカッコイイですねーー。安心感。出た瞬間ハッとした。大きい。
謎の白鳥のおもちゃとか、出てくる物々可愛らし面白かったな。

自分の名のかかった、ひもを辿って、
クリスマスプレゼントを、迷路のような庭から館じゅう歩み探していくシーン、
これはとても良かった。最も好きなシーンかなと思います。
館にはりめぐらされたひもの光景も派手で、
とてもワクワク、良かったなあ~~と思う。そして謎の木トンネルからの雪景色!美しかったね。トンネルを抜けるとそこは…。
あの雪景色到達は、思わず『ナルニア国物語』を想起させますね。
というか、屋敷から偶然たどり着いた雪景色、その国の王になる…って流れは結構『ナルニア国物語』だなー。まあ全然違う物語ですが。


でも
ラストは、お母さんのプレゼントのオルゴールの曲が、
両親が初めて一緒に踊った時の曲で、
その曲で親子で踊るという……、とびきりロマンチックな終わり方で。
とても綺麗だったなって思います。

屋根裏部屋から始まって、ダンスで終了。
あまり寄り添えていなかった家族の心が、最終的にはまとまって終わる。主人公はちゃんと成長して、お母さんの死を受け入れて、他家族にも目を向けられるようになったんだなって……。母を失った少女のちょっと不思議な成長物語、かな。
お約束だけど、もうきっとあの王国にはいけないから、せつないね。
雪の中でのお別れシーンも、良かったと思う。


ピンタンブラー錠、何度もこの言葉が繰り返されて印象的だったなー。

☆2