あるるる~と。

娯楽感想備忘録

『セッション』2014年106分制作国アメリカ

~あらすじ~

音楽学校に通う19歳のジャズ・ドラマー、ニーマン。
ある日彼は、学内でも最高の指揮者フレッチャーが率いるスタジオ・バンドに招かれる事となる。

※以下ネタバレアリ


~感想~

ずっと観たかった映画。
当時周囲で絶賛されていた。
部屋を暗くして、久々に一度も止めずに映画を観た。
良かった。

見る前までの想像では、
最初から周囲よりも特出した才能を持つ青年が、より努力を重ね紆余曲折の猛練習ののち、晴れ舞台前に事故に合い、ボロボロのまま舞台に立ち執念で演奏をやり遂げ拍手のなか幕が下りる。
みたいな物語展開かと思っていた。当然だが違った。
良かった。

ラスト展開にはやっぱりかなり肝が冷えたというか、凄まじい仕返しだった。
そこまでの主人公は流石にヘラヘラというか、色々と軽く考えすぎに思うが、(19歳と思うと若さ故の幼さかもしれない。)
あそこで舞台に戻ったのは、本当に素晴らしいと思う。
2人ともかなり勝手というか、自分の我を強く持っている人物で、やっぱりそれぐらいの拘りや熱意が無くては務まらない道に居るのだよなと思う。
信念や強い願いが、夢を掴むには欠かせない事を感じる。
狂気のなかでしか掴めないものがある。


構成としてはやっぱり三幕構成だろうか?違うか?うーんもうよくわからない。
静かに1人練習する場面から、激しく舞台で練習する所で場面。
バンド抜擢、(主奏者)、事故、(再会)、ラスト演奏。

音ハメの決まった、カット切替が強く印象に残る。
ピントも。

音楽映画なので、音楽もやはり良いと思う。
色彩も全体的に落ち着いていて、楽器の美しさ等が映える。


音楽をする理由
「音楽をする理由がある」

周囲の芸術への無理解さや、
夢を持つ者と、持たない者の考え価値観の違い。
特にピザ屋での、彼女との会話は結構胸が痛い。
目的無く受かった大学に漠然と通う彼女と、音楽の為選んだ最高峰の音楽学校で学ぶ主人公。そこには大きな価値観、人生の過ごし方に対する隔たりがある。

朝から晩まで、寝ても覚めても音楽漬けの毎日。
削れる時間は削り、音楽に捧ぐ姿は、
才能は、先天的な物が占める量よりも、
執念と努力により、決定的に裏付けされ作られるモノが重いという事が痛烈なまでに描かれる。

「英語で最も危険な言葉はこの2語だ "上出来だ(グッド・ジョブ)"」
満足した先に、成長は無いのだ。

「あなたはやり過ぎて 次のチャーリーを挫折させたのでは?」
「いいや 次のチャーリーは何があろうと挫折しない」



悔いなく生きるということ、
人はいつか死んで消えてしまうこと、
そんなことが観ていて終盤頭に浮かんだ。

☆5