あるるる~と。

娯楽感想備忘録

『リリイ・シュシュのすべて』2001年146分制作国日本

~あらすじ~

田園の広がる地方都市に暮らす14歳の蓮見雄一は、かつての親友にいじめられ鬱屈とした日々を送っている。
唯一の救いは、カリスマ歌手 リリイ・シュシュの曲を聴くことだけ……。


※以下ネタバレアリ


~感想~

岩井俊二作品は苦い。
ずっと気になってた作品、やっと観られた。
lainが好きな人は好きそうだなーと、観始めに思った。
結構話の展開もへんてこで、盛り上がる所も不思議だし、終着点も変わってると思った。終着してないっていうか。
話の内容に関しては、ちょっと私はまだ一度観ただけなのでなんて言えばいいのかよくわからない。
ただ、私としては映像面がとても面白くて、良かった。また観たい気がする。

映像がかなり綺麗かつ面白くて凄い。良い。
ホームビデオ視点のハンディカメラでの撮影。主観的で身近で、面白い。
荒れて揺れてほとんど何が撮られてるのかよくわからないシーンとか、逆により鮮明にそのシーンを映してる。溺れたり、襲ったり。
ビビッドな色彩
暗いシーンは光を当てて撮ってて、その反射も含め面白い画になってる。
田園の緑が本当にまぶしい。
空。
紫。
下から撮ったり、だいぶ引きで撮ってみたり。
ポツンと田園に立つ姿、雰囲気出てて……孤独感というか?出てるなと思う。一人一人の。
ライブの人混みの風景も凄いし。なんか感じるものがある。
身重の母親を自転車の荷台に乗せてあげるシーンとか、シンプルながらに優しくて良かった。主人公の素が垣間見えるというか。
バスを追ったカメラがそのままぬる~っと慣性のまま動いてその後きた主人公にまたあわせて動く…、みたいなカメラワークの動きもなんか独特だなと思ったりした。
文字が頻繁に出るのも変わってるけど、その出方も面白い。
白黒でサブリミナル的に色々写すのも、不思議な雰囲気が出てるし、コントラストの激しさで瞼に焼き付いて面白い。
カイトのシーンは『四月物語』の釣り練習も少し彷彿とさせたな。笑顔からの、アレは結構ショック。
主人公が泣くシーンのアップとかも良い画だよね。パワーある。
羽。
工場跡地、舞う羽、凄い。ここも独特なシーンでよかった。
光がやっぱりキレイというか、独特だ。
煙。

映像で特に印象に残ったのは、
ハンディカムのリアルで身近な主観的映像と、暗闇のなかライトが当たって反射するでもどこか自然に受け取れる映像。
暗闇の中、被写体自体にライトを当てて綺麗に撮るって、面白いや。
あとはやっぱ白黒サブリミナルや文字も独特だったね。

1/4手前ぐらいで13歳の話に、1/2ですべてが終わる9月1日あたり、3/4あたりでレイプ、クライマックスは15歳。
って感じ…だったかな?一応。3幕構成?でもあまりそんな感じもしないかな。レイプ後~津田の自殺あたりの盛り上がり方が凄い感じだった。今まではBGMが流れてもそこまで盛り上がる感じじゃなかったけど、ここはそうじゃなかったからかな。

音楽も良い。リリイ・シュシュドビュッシーと。
冒頭のCDショップで流れてた曲、咄嗟に気になって調べたら相川七瀬の『midnight blue』だった。相川七瀬良いな。スッキリ。


エーテル
セロトニン
アラベスク
アラグスク
沖縄 男は女のあばら骨から…
ノストラダムス

服装も結構好き。それぞれのキャラ個性がある。ブカブカ。まだ子供だよね。
OCEAN PACIFIC Tシャツ
時計とか、キーホルダー沢山ガラケーとか、小物もイイ感じ。ピンクのスケルトンヘッドフォン?オモチャみたいでカワイイ。
CDプレーヤーも懐かしい。古いiMacもいいね。


主人公、市原隼人みたいな顔してるなあと思ったら市原隼人だった。
かわええ。

花とアリス』の先輩出てる。
調べたら、先輩『好き好き大好き超愛してる』の舞台にも出てた。『ひぐらしのなく頃に』のドラマにも出てる、色々やってるなあ。
花とアリス』の時って二十歳ぐらい?なのかな。役とはいえ若く見えるなあ。

蒼井優がすすっと普通にモブとしていてびっくりした。
よくよく確認してみたら、蒼井優に似てるなあと思った子が蒼井優だった。

主人公と津田の電話シーン、2人もちいちゃいしそれぞれの部屋とともに映ってて、なんか、かわええ。
津田の部屋もいいよね。クマのぬいぐるみが沢山の部屋。大きいぬいぐるみばっかりで、津田もその一部みたい。
セロテープが沢山あったり、おもちゃの指輪?や、はじく楽器?、イルカ?のぶら下がってる飾りとか。ごちゃごちゃとでもなんか可愛らしいものが沢山置いてある。
津田が聴いてるCDがキンキキッズなのも普通の女の子っぽい。

この時期の女子って怖いよね。校舎裏……。
男の子たちも血気盛んだけど、なんでおでこくっつけんだよ、とか言ってるのはちょいかわいい。

担任や、沖縄の通訳お姉さんも、なんかどこかでみたことがあるような感じがした。
稲盛いずみ似!て言われてた星野のお母さん、本人が演じてるんだね笑

wiki読んでて、リーシュって略称かわいいね。フィリアのスペルってPから始まるんだ。
ピアノの音源に当時14歳の牧野由依の弾いたものが使われてるって、びっくり。そういえば岩井俊二牧野由依のMV撮ってるのってあるよな……。


やっぱりなんていうか、何だろう。
弱いのて辛いねというか。10代って多感で不安定な時期だね。
立場だってコロコロ入れ替わるし、他人の痛みを知らない。幼いのは罪だよ。
死のや罪のかおりを伴う青春、辛い。底の日々。
主人公が久野を工場に自分で案内しておいて泣いているシーンは、本当に弱いって最悪なことだなっていうか。

個人的にはやっぱなんだろ、津田が好きかなー。

色々なんだろう、思う事とかはあり、痛みを伴う作品だったな。
でもやっぱこの2000年頃のアイテムっていいね。インターネットの雰囲気も含めさ。世界観が良い。少年少女もかわゆい。
1999年とか、あの頃はやっぱ、いいなて思う。

インターネット小説の方も読みたいね、と思った。
今でもサイト?残ってるんだね。いいね……。作品内のサイトが実際にあるのって、たしか『SIREN』や『スターガール』でもあったと思うんだけど、やっぱりこういうのって、いいよね。結構消えちゃってるもんだけどさ、残ってると本当嬉しい。

悪癖で、結構止めたり戻したり、繰り返しつつ観てしまったので、次観る時はちゃんと通しで観たいなと思った。
でも、岩井俊二作品本当に苦いなーーー。二度目なんて観たくないよ。でも、また観たい気持ちになる。不思議な監督。
映像がホント良いね。光や色が綺麗。独特の空気感がある。
ピアノの音、最高。