あるるる~と。

娯楽感想備忘録

『みなさん、さようなら』2013年120分制作国日本

~あらすじ~

一生団地の中で生きていく、12歳でそう決心した悟。
そんな彼の成長を描く。


※以下ネタバレアリ


~感想~

団地が好きだ。昔から好き。
だから、気になって観てみました。
確かに、たまに豪華な団地って団地内に色々あるよね。ロマンあるよね。給水塔なんかもカッコいいよね。
とはいえあまり期待はせずに観始めました、イロモノかな?と。
そしたら!意外にもなかなかの当たり作で、面白かった……。ラストはうるっともきたよ。いいね~。
全てが繋がるし努力が実るし……、良かった。舞台も内容も、良かったです!雰囲気も出てるし、青春もあって、良くまとまってたなあ~。


大人がそのまま小学生中学生やってるのも独特で面白いな。劇みたいだ。
ソレに、不思議とそうみえるよ。役者ですねえ。

象徴的な団地と外とを繋ぐ真っ白階段が、印象的で、良い。

卒業生が1人足りないのは、悟のことかと思ってたけど、中盤で明かされてうわああとなった。
団地から出ない、なんておかしなことをしている悟に対して、同級生たちは妙に優しいし同窓会も団地内で開いてくれるし、なんだか変だなと思っていたけど、それがちゃんと明かされて、うわあ!となりました。
悟がひたすら力を求め、団地を守る事に固執し、元気ならばいいと言っていたことも、全てが繋がって良かった。
ラストのお母さんの所とか本当、出れて感動したし、ずっと見守ってくれていたお母さんの日記はもううるっと来る。愛がある映画。

1/4は、働き始めかな
1/2で、出ようとして倒れ出なかった原因が明らかになり番組シーン…その後はどんどん人が減り……。
3/4で1人になり、新しい住民との出会い
そしてクライマックス。という感じかな。
だから、結構三幕構成とか起承転結とか?まあそういうのに近い作り方かなと思う。
本当、中盤で、理由が明かされた時は仰天した。てっきりものぐさのように感じていて、何も考えてなかったので。


音楽もアイテムも、雰囲気あって良かったな。
自室の勉強机もなんか雰囲気あった、地球儀型ライトとか。
本棚も、幼い頃はマガジンばっかりだったのに、成長後はお菓子大百科が入ってたり。
結構団地の様子が、年月に従って様変わりしていっていて、それがまた切なくもあり雰囲気もあり時間経過を感じ、よかった。(最近の団地って本当に外国人多いのかな??)
親友の病んでしまう男の子の服装も可愛かったな。夜のお散歩時の紺赤白の上着とか、熊?柄のパジャマとか。ケーキ屋制服が悟中心になった後、変わるのも世代交代をわかりやすく感じてよかったな。
女の子たちの恰好も時代感じてよい。
真っ白なスニーカーとか、ちょっと上履きみたい。

エレカシも合ってた。
他にも音の面だと、
お隣さんとのファーストキスの時か、室内で、遠くの音がぼんやりと聞こえるさまとかリアルで……雰囲気出てたなあ……。
ほーほーくっくるーがないてる時もあったね。機械音とかも不気味なんだ。

文集化何かの似顔絵も味が出てていい、みんな同級生なんだなって。悟の、小学校でちょっと時が止まっている様も出てると思う。
皆なんだかんだわかるなって感じの顔だしw 将来の夢やあだ名欄の味、良い。
大体の人が小学生の頃の夢なんて忘れているなかで、そのまま夢を追い団地を出て、ちゃんと叶えてってるやつもいる!マジ、熱かった!うおーー!!!(出ていくシーンも、悟に楽しみに待ってろよって言って出てくのカッコいいし優しい感じあるし良い。)
出て行った人は、基本的にもうその後帰ってこないのでああいう形でその後が見られるってのは嬉しいよね、悟……。
(お隣さんは、途中は時折帰ってきてたけど大阪転勤後はもう出てこない。お別れのキス後は出ないね。)

せんせいさようなら、みなさんさようなら。
これも途中の同窓会で、タイトルそういうことか!となった。
色々なんだろう?と思っていたことが、スッと明かされると気持ちよい。やさしい。
お母さんの仕事が看護師なのも、母子家庭の説得力あるしね……。


団地内でも、色々な経験や成長がある。

主人公悟、
「〈不言実行、有言有責任、自負自尊〉
 この三原則に反する男は男じゃない」
精神に筋金を通す。悟は悟なりの信念にのっとった生活を行ってて、凄かった。
ひきこもってても、規則正しい生活てやっぱ大事だね。
「正義無き力は暴力に過ぎず、力無き正義は無能なり」
団地の人間は俺が守る、昔からそう決まってるんだ」
かっけえええ このシーンは、守護神だわもう…って感じだったね。
お母さんの言う様に、悟は悟なりに戦っていたんだよね……。真っすぐな熱い男だよ。

ヒロインも良い。
お隣さんと、婚約者、対照的なキャラクターだった。

お隣と繋いでる風鈴はめっちゃ良かったね。
お隣同士、ベランダ越しの会話、ロマン!お約束!最高だね。可愛いし……。
そのうえ「だめ、ここまで」魔性だよこんなん~~~!!!
「違うよ こういう事してると 動物の部分が刺激されて 相手の事好きなような気がしちゃうんだ」
自然光のなかでのこういうのね。せいしゅん……。
女の子はどんどんかわっていくなあ。見る度に、恰好が変わっていってて超良い。成長過程というか、悟の外の世界、団地の外の世界では時が流れて行ってる事を彼女を通して感じる。
団地から出たいって、彼女は初めから言ってるので、悟と本当に一線を越えはしなかったのかなーとか色々感じさせるキャラだ。

そんなお隣さんとは対照的に、
「変わりたくないな~私は うん 変わる事が良い事だって思えないな」と言う後の婚約者。
彼女は見た目も含め、雰囲気があまり昔から変わってるように見えないし、彼女も団地が好きだし本当にすごい運命かな?って感じなんだよね。
「サトルちゃんて 子供のまま大きくなったみたい」
「女って 自分にしかわからない魅力に弱いんだよ」
そうなんだ……。
てか団地の女小悪魔ばかりだな。だめ。翻弄されるる。
でも可愛い女の子に翻弄される分には幸せそう。
「世界中が敵になっても 私はサトルちゃんの味方だよ」
同じ団地でも環境が違う
すぐそばに住んでいても自分のこと以外全然知らない
「俺はサキの事が全部知りたい」
「なんでも知ってるって、そんなにいい事なの」大切なのは知りたい理解したいと思う気持ち……。
まあ、破局は当然なんだけど、わかってたけど悲しいね。
ずっとロングだったのに、別れる時はショートだし服装の雰囲気もなんか違うよーーーってのがまた、良い。
変化って、せつない。
(そういえば、なんかトランプ?と駒?でやってたゲームなんだったんだろ)

親友もいいキャラだったなあ、でも……悲しかったな。
「目が見てる」機材の音ってこうきくと不気味だね。
ロサンゼルス地震が起きたのは僕がお箸を落としたせい、とか支離滅裂な言動がすごい……静かに狂気をはらんでいて、悲しかった。
電気痙攣療法…ショック、彼のお母さんも全然こちらと目が合わせられてなくて、つらい。
友人が手の届かない場所に行ってしまうの切ないよ。彼が最後だったしね。

「人間は誰でも死ぬの」お母さん……。

でも、新しい住人も増えたりしてね、
どんどん様変わりしていく団地の様は本当に、時が感じられて面白かったな。
確かになかなか何十年も、一か所にとどまり続ける事って無い気がするから、不思議な感じだった。
様変わりしていくさま、いいね。
リベンジの機会というか、トラウマを乗り越える機会もあってね。努力が実って本当、熱かったなあ。
流しのケーキ教室w面白かったな。そして、どこに行っても本当、悟ならやっていけるよ。


劇中映像協力ってことは、
『団地への招待』や『地上最強のカラテ』は実在しているのか……。すごい。


団地という題材、出られない理由、
流れていく時、生死、人生。
色々な噛み合いが上手い事働いてて、良い映画でした。近年の邦画も悪かないね。
悟の半生をずっと追っていたから、ラストのエンドロール、悟が外を歩いていく姿は沁みるものがあった。


★4